東京高等裁判所 昭和34年(ネ)1759号 判決
要するに被控訴人は給料生活をやめて帰農したけれども農業で生計を維持するためには耕作面積を増加する必要があり、一方控訴人はその長男が教員に就職したので農業経営の規模を縮少するのを相当とするに至つたので、右両名の合意により本件賃貸借を解除したものであり、控訴人が返還を約した本件土地と、その代りに被控訴人より与えられた別紙第二目録記載の土地とは、地積、水利において後者が前者に劣るけれども、第二目録記載の土地は交換的に賃貸されるのではなくて耕作権とともに所有権自体も本訴土地の離作の代償として控訴人に譲渡されたものであつて、これにより控訴人の得るところは本件土地の離作の代償として相当であること前掲甲第五号証の一、二、同第六号証の一、原審証人雨宮重次の証言及び同証言により真正に成立したものと認める甲第六号証の二により認められるから、それが近い将来被控訴人において本件土地を宅地に転用することによつて得る利益の大きいのに比較すれば僅少であるにせよ、以上の事情はなお農地法第二十条第二項第四号にいう解約につき正当の事由がある場合に該当するものというを得べく、その合意及びこれに対する知事の許可は同条の要件を具備するものというべきである。
(川喜多 小沢 位野木)